マクロな視点を養うには? 全体を見ることで、本当に向き合うべきことが見えてくる
※この記事は2017年に書いたものを、2026年10月に今の考え方で書き直しました。
経営者の方とお話ししていて、よく話題になるのが「マクロな視点」です。高い視座、物事を俯瞰する力、と言われることもあります。
私がこの視点を大切にしているのは、目の前の数字や作業だけを見ていると、本当に向き合うべきことを見落としてしまうからです。
マクロとミクロ
私なりの捉え方を書きます。
ミクロは、一つひとつの具体です。たとえば動物なら、犬、猫、馬、キリン。マクロは、それらを並べたときに見えてくる共通点や、全体の流れです。足が4本ある、毛が生えている、といったことですね。
マクロで捉えられていれば、初めてライオンを見たときにも「動物だ」と分かります。ミクロでしか見ていないと、「犬でも猫でもない何か」としか分かりません。
事業に置き換えると、ミクロは「今月の予約数」「この投稿の反応」「このチラシの文面」です。マクロは「この事業は、誰のどんな困りごとに応えているのか」「関わる人にとって、この形は続けられるのか」です。
目的は「センターピン」を見つけること
ボウリングでは、先頭の1本をうまく倒すと、後ろのピンも一緒に倒れます。私はこれになぞらえて「センターピンを見つける」と言っています。
事業にも、そこが動けばほかも動く、という一点があります。マクロな視点を養うのは、そのセンターピンを見つけるためです。
センターピンが分かれば、新しいことに取り組むときも一から始めずに済みます。業種や媒体が違っても、押さえるべきところは大きく変わらないからです。
養い方1:自分の手で、数をこなす
どこにセンターピンがあるのかは、最初は分かりません。だから私は、まず数をこなすことを大切にしています。
最初は質より量で、とにかく手を動かす。続けていると、「ここが動くと全体が動く」という手応えが少しずつ見えてきます。
ポイントは、特別な技術が要らない、地道に積み重ねられることから始めることです。思い立ったらすぐ動けて、技術が足りないせいで挫折することもありません。少なくとも半年から1年は、同じことを続けてみることをおすすめします。視座は、数日や数か月で変わるものではないからです。
養い方2:自分より広く見ている人の話を聞き続ける
もう一つは、自分より長く、広く事業を見てきた人の話を聞き続けることです。業種の違う経営者、現場で働く方、お客様。自分とは違う場所から見えている景色に触れることで、少しずつ視野が広がります。
広く見ている人ほど、流れに逆らうことをしません。
- 広がるものを、無理に止めようとしない
- 求められていないものを、無理に売ろうとしない
- 勝てない場所で、無理に勝とうとしない
- 縮んでいく市場を、無理に広げようとしない
短い期間なら、こうしたことでも結果が出ることはあります。でも長い目で見ると、どこかで無理が生じます。
マクロな視点があると、立ち止まる判断もできる
私が関わっている料理教室では、フランチャイズの拡大を一時止めると決めました。
加盟してくださる方の数だけを見れば、広げた方が前に進んでいるように見えます。でも全体を見ると、一度きりの体験で終わる形のままでは、講師の方は毎月、予約が0件のカレンダーから一か月を始めることになります。その不安は、やがて離れていく理由になってしまいます。
だから、広げる前に、続けて通っていただける仕組みを先につくることにしました。目の前の数字ではなく、関わる人の「来月」を見る。私にとって、それがマクロな視点です。
全体を見ると、こぼれている人が見えてくる
全体を見ていると、今の仕組みでは十分に支えられていない人の存在にも気づきます。
たとえば、技術はあるのに、子育てや家庭の事情、体のことで、決まった時間に働くのが難しい方。私が関わる美容のサロンでは、そうした方が自分の暮らしに合った形で働ける仕組みを大切にしています。
時代が変われば、人も変わります。何十年も続いているお店も、少しずつ時代に合わせて変わっています。今、誰が困っているのか。その変化に気づけるかどうかが、事業の土台になると思います。
まとめ
マクロな視点は、自分の手で数をこなすことと、広く見ている人の話を聞き続けることで、少しずつ身についていきます。
そして、その視点を持つと、目の前の数字の先にいる人が見えてきます。事業は、「誰を助けたいか」から始まる。全体を見る力は、その問いに正直に答えるためのものだと、私は思っています。
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