飲食店で「あ、水でいいです。」は駄目なのか? ルールを押し付ける前に、行動の理由を考える
※この記事は2017年に書いたものを、2026年10月に今の考え方で書き直しました。
日本に出張したとき、お会いした方々に、いろいろなお店へ連れて行っていただきました。
そばのつゆでしゃぶしゃぶをいただくお店。パスタをお箸でいただくイタリアン。その日に獲れた魚しか置いていないお寿司屋さん。
味はもちろん、壁紙、お水のグラス、お皿の置き方、説明の丁寧さ、店員さんの笑顔まで、一つひとつに気配りがあって、本当に居心地のいい時間でした。
私が見ている「お水とお手洗い」
仕事柄、私はお店に入ると、無意識にお店の基準を確かめています。そのときに見るのが、お水とお手洗いです。
お水は、味だけでなく、グラスがきれいか、どう出していただけるか。お手洗いは、きれいに保たれているか、丁寧につくられているか。
食事だけでなく、お店で過ごす時間のすべてを楽しんでもらいたい。そう考えているお店ほど、こうした細かいところまで気を配っています。
「水しか頼まないお客様」は悪いのか
あるとき、「最近は、飲食店で水しか頼まないお客様が増えている」という記事を読みました。一杯は飲み物を頼むのがマナーで、それを知らない若い人が多い、という内容です。
記事は「最低限のマナーは守りましょう」で終わっていました。
私は、マナーそのものに賛成も反対もありません。気になったのは、「水でいいです=マナーを知らない人が悪い」という見方になっていたことです。
「期待」ではなく「信頼」で見る
この見方の裏には、お客様への「期待」があります。こう振る舞ってほしい、という期待です。
もしお客様を「信頼」しているなら、まず「なぜ、水だけを頼むのだろう」と考えると思います。
- 一杯頼むという習慣を、知らないだけかもしれない
- お酒を飲まない人が増えているのかもしれない
- 食事そのものを楽しみに来ているのかもしれない
ルールを知らないこと自体は、ただの事実です。その事実をどう受け取るかで、お客様への向き合い方が変わります。
相手を自分たちのルールに従わせようとすると、苛立ちが生まれます。相手にとって一番いい形は何かを考えると、工夫が生まれます。
誰に来てほしいのかを決める
インターネットのおかげで、路地裏のお店にも、初めてのお客様が来てくださる時代になりました。いろいろな方が来てくださる中で、それぞれに合った過ごし方を用意するのも、一つの選択です。
逆に、お店の世界観を大切にしたいなら、それを守る形を選ぶこともできます。昼は誰でも入れて、夜は会員制にしているお店もあります。
大切なのは、お客様を責めることではなく、「このお店は、誰に来てほしいのか」を決めることだと思います。決まれば、伝えるべきことも、用意すべきことも見えてきます。
お互いさまの関係
私がつくりたいのは、お店とお客様が、お互いを大切にし合える関係です。
お客様は「いつもおいしい食事と素敵な時間をありがとうございます」と伝えられる。お店は、こだわりを押し付けるのではなく、お客様の声を聞きながら、一緒にお店を育てていく。
こだわりだけでは、すれ違いが生まれます。思いやりだけでは、お店が大切にしてきたものを見失います。その両方のバランスが大事なのだと思います。
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