※この記事は2017年に書いたものを、2026年10月に今の考え方で書き直しました。

以前、ある神社の宮司さんから、運営についてのご相談をいただいたことがあります。いろいろな方法を試してきたけれど、基本が定まらないまま方法ばかりを追いかけて、かえって迷ってしまっている。そんな内容でした。

神社やお寺も、ほかの事業と同じように、人が集まりにくくなっているところが少なくありません。今までと同じことを続けるだけでは、続けていくのが難しくなる場所も出てくると思います。

業種は違っても、私が事業に関わるときに最初に考えることは同じです。そのご相談をきっかけに考えたことを書きます。

方法から入ると、迷い続ける

SNSが流行ればSNS、チラシが効くと聞けばチラシ、セミナーが人気ならセミナー。人が集まらずに悩んでいる方ほど、方法から入ってしまいがちです。

流行っている方法を使えば、そのときは人が集まります。でも、流行りはいつか終わります。終われば、また次の方法を探すことになります。

方法を変え続けても、悩みは終わりません。足りないのは方法ではなく、その前にある問いへの答えです。

最初に決めるのは「誰を助けたいか」

私が事業に関わるとき、最初に考えるのはいつも同じです。「この場所は、誰を助けたいのか」。

神社やお寺も同じだと思います。近所に暮らすご年配の方なのか。受験を控えたお子さんのいるご家族なのか。人生の節目で立ち止まっている方なのか。仕事を退いて、毎日の過ごし方を探している方なのか。

誰を助けたいかが決まらないと、何を伝えればいいかも決まりません。誰にでも向けた言葉は、結局、誰の心にも届かないからです。

そのうえで、次の3つを考えます。

  • 誰に:来ていただきたいのは、どんな方か
  • 何を:その場所だからこそお渡しできるものは何か
  • どうやって:その方に、どうやって知っていただくか

答えは、今通ってくださっている方が持っている

この3つの答えを、机の上だけで考える必要はありません。

人が集まりにくくなった今でも、通い続けてくださっている方がいます。その方々が、なぜ通ってくださるのか。最初にどうやって出会ったのか。何を大切に思ってくださっているのか。

直接お会いして、お話を聞く。答えのほとんどは、そこにあります。

新しいものをゼロからつくる必要はありません。長く続いてきた場所には、多くの方に大切にされてきた理由がすでにあります。それを見つけて、まだ出会っていない方にも伝わる形にすることが大切です。

知っていただくために、自分から出向く

3つ目の「どうやって」は、難しく考えなくても、身近にできることがたくさんあります。

  • 知り合いに、自分の言葉で紹介していただく
  • 地域の集まりや行事に、自分から顔を出す
  • 訪れてくださった一人ひとりと、言葉を交わす
  • いただいたご相談に、丁寧に耳を傾ける

どれも特別な技術は要りません。ただ、地道で、時間がかかります。

それでも、この場所で誰かの力になりたいと思うなら、こうした一つひとつの積み重ねが、一番確かな道だと私は思います。

比べられているのは、ほかの神社やお寺だけではない

人は、自分の時間をどう使うかを毎日選んでいます。家族との外出、友人とのお茶、趣味、スマートフォン。限られた時間の中で「行ってみたい」と思っていただけるかどうかが、問われています。

だからこそ、初めての方でも足を運びやすい入口をつくることが大切です。季節の行事、地域の方と一緒に過ごせる時間、家族で参加できる催し。その場所らしさを大切にしたまま、入口を広くすることはできると思います。

業種が違っても、始まりは同じ

これは、神社やお寺に限った話ではありません。美容のサロンでも、料理教室でも、私が関わる事業ではいつも同じ順番で考えます。

誰を助けたいのかを決める。今つながっている方の声を聞く。その方に届く形で、まだつながっていない方に伝える。方法は、その後で選べば十分です。

事業は、「誰を助けたいか」から始まる。長く続いてきた場所こそ、この問いに立ち返る価値があると思っています。

ABOUT ME
石川譲
石川譲
Globalcube Limited 創業者・代表。「事業は、『誰を助けたいか』から始まる。」をMissionに、日本・ニュージーランド・英語圏で事業づくりに伴走しています。1981年東京生まれ、2004年からニュージーランド在住。
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